結納返しとは?
婚約が決まり結婚式への準備を進めていく中で、日本古来より結納という儀式があります。結納において花婿側から受け取った結納品に対し、花嫁(女性)側が花婿(男性)側に送るお返しが結納返しです。関東式、関西式大きくわけて二つの方法がありますし、方法に地域差もあることからどのようなものをどのような形でお返しすればいいのか迷う花嫁の家もめずらしくはありません。
新郎からいただいた結納品のお返しの品
結納返しをおこなうにあたり、花嫁が返すものは縁起物の結納品に対しては縁起物の結返し品を、結納金に対しては現金や記念品を贈ります。ここで花嫁側から花婿側に送られる現金を御袴料といいます。昔は結納の際に花嫁に着物や反物を送っており、そのお礼として花婿側には袴を贈っていたため袴料と言われているようです。御袴料としては現金のかわりに最近では記念品を贈るケースも増えているようで、その場合に贈られる記念品は時計やスーツなどの結婚の記念になるような長く使えるものが多いようです。 そして伝統な形式にのっとり正式な結納返しをする場合は御袴料のほかに縁起物の結納返しを用意します。現在はこの縁起物の結納返しは省略し、御袴料だけをお返しする場合も多いようです。縁起物の結納返しもおこなうという事であればセットになったものが結納専門店や百貨店、インターネットで購入することができますので納期などに数週間かかる場合もありますので早めに用意するようにしましょう。
結納返し、する?しない?
最近では結納の簡略化にともない、そもそも結納返しをしない事もあるようです。金銭が絡むことですから、両家の地域差や価値観の違いによって結納の話をすすめていくなかで考え方の違いに悩んでしまうことも珍しい事ではありません。 結納に関しては地域によって方法も様々ですから、最終的には両家の話し合いで自分たちの考え方にあった結納・結納返しのスタイルを確立し執り行う事が両家の今後の良好な関係を築くにあたり重要といえます。 しかし結納返しをしない場合でも、花婿側から結納品をいただいた以上は何らかの形で花婿側に対して花嫁側も今後ともよろしくお願いしますという気持ちを込めて、お礼の意を示すべきです。では結納返しをしない場合はどのような形の結納のスタイルをとっていけばいいのか、いくつかの例をあげていきたいと思います。
お返しが不要な額で結納品を受け渡す
地域によって違いはありますが一般的に結納金は50~100万円ほど支払われる場合が多いようです。そして結納返しの金額は全国的にみて10~50万円ほど。仮に結納金を100万円贈られて、結納返しを50万円とするならば最初から結納金を50万円に設定してもらうような、結納返しの金額を差し引いた額の結納金を納めていただくようにするケースです。 この場合は当然ですが事前にいくらの結納金をいただけるのか花婿側に確認をとらなくてはなりません。
お返しの代わりに新郎新婦の新生活の資金にする
新婚後の生活には色々な出費が重なります。新居への引っ越しや家具家電を新しく揃えたり、ふたりで暮らすにあたり必要なものや新調すべきものが発生することでしょう。そのような資金にいただいた結納金をまわすことによって結納返しを省略する場合もあるようです。
記念品だけを送りあう
まだ関係をもって浅い両家が金銭のことで相談をするということに抵抗をもってしまう事も多いようです。また結納の簡略化の傾向にともない記念品だけを贈りあうというケースも近年は増加傾向にあります。こうすることで両家の予算に合わせることができますので金銭的な負担も少なくなりますし、何より金銭的な話し合いをせずに済むという精神的な不安が解消され結納に対する緊張感もやわらぐことでしょう。 記念品には腕時計やスーツなどが一般的ですが、最近ではより実用的な家電などを贈るケースもあるようです。結婚の記念品ですので、消耗品は避けるようにし結納の思い出にのこる素敵な品を選ぶようにしましょう。
結納返しは「半返し」が目安?
結納返しは以前より関東では半返しが主流とされてきました。そういった事から結納返しは半返し?と思われる方も多いかもしれませんが、現在は結納の簡略化にもともない負担も大きいことから半返しで返す花嫁の家は少ないようです。では結納返しの相場はいくらになるのでしょうか。 まず最も大切な事はお相手の結納品よりも豪華にならないという事です。一般的に同等かそれ以下と言われてはいますが現在では頂いた結納金の一割程度の御袴料が多いようです。全国の平均的な御袴料の相場も5~10万円とされていますので、50~100万円が相場の結納金に対しての一割程度を送る花嫁の家が多いという事でしょう。 また現金で送る際にはマナーがありますので注意が必要です。それは金額を決める際に縁起のいい金額を設定するという事です。昔から割り切れる偶数は「割れる」ことから「別れ」を連想させるため慶事には避けられてきましたので奇数の数字が基本となります。5万円、10万円、30万円などのあたまに奇数がつく金額が多いようです。ちなみに「8」は偶数ですが、漢字の「八」に末広がりという意味があることから例外的に偶数でも縁起のいい数字とみなされているそうです。また「4」は「死」。「9」は「苦」を連想させることから、これらの数字も慶事には使用しませんので確認しておきましょう。
地域によって違う、結納返しの金額の目安
結納返しの金額は現在では結納金の一割程度をお返しするのが主流と先ほども延べましたが、これには地域的な差がある傾向についても確認しておかなくてはなりません。昔から結納に関しては「西高東低」と言われており関東は質素に関西は豪華に執り行う傾向があります。ここでいう関東というのは沖縄を含めた東日本。関西とは九州を含めた西日本をさします。西日本の名古屋での豪華で華やかな結婚式は有名ですし、関西では婚礼において伝統やしきたりを重んじ豪勢に行う傾向があるようです。 よって結納返しもこのような結納に対する考え方の違いから、金額にも関東関西では違いがでてきます。結納返しは以前より関東では半返し、関西では一割返しもしくはお返し無しとされてきました。西高東低の結納に対して、結納返しは逆となり東高西低となるのです。これは関東では両家は同等という考え方をされていたため結納金も負担は半分ずつにするという事ですし、関西では花婿側が格上という風潮があったため花婿の家をたてるように結納金に対しても花婿側が結果的に多く支払う場合が多かったようです。 こういった地域による考え方の違いから結納当日にむけて注意しなければならない事があります。それは受け渡しのタイミングです。頂いた結納品に対し後日に花婿の家に出向き結納返しをすることが昔からのしきたりではありますが、現在では結納の日に結納返しも済ませてしまう当日受け渡しも非常に多くなってきています。地域によって結納返しの相場は上記のような理由から違いがありますので、その際にいただいた結納金よりも高額の結納返しを花嫁側が贈ってしまうと結納返しにならなくなってしまいます。当日受け渡しをする場合は事前に両家でいくらほどの金額にするのか確認しきちんと話し合うようにしましょう。 しかし現在ではこういった地域差も縮まってきており、全国的にみても結納における両家の格差は減らしていこうという自分たちの考え方を重視した合理的なスタイルが増えてきているようです。両家が納得のいく結納をおこなえるように当事者ふたりが両家の間に入り話し合う事が重要となってきます。特に両家の出身地が違う場合は、自分はもちろん相手の地域の風習を知り、そのうえでどのように結納を進めていくか考えるようにしましょう。
結納返しの品目は?
次に結納返しにおける品目についてご紹介していきます。結納返しを伝統にのっとり正式な形でおこなう場合、大きくわけると三つのお返しが必要となります。目録、御袴料、縁起物の結納返し品、これらが一つのセットとなり結納返しとなります。 目録は結納返しの品目を記した、ようは納品書のようなものです。御袴料は結納金に対するお返しのお金で現在ではお金の代わりに記念品を贈る場合も多いようです。そして最後に縁起物としての意味がこめられた数種類の結納返しの品々です。どの品にもふたりの今後の結婚生活の安泰と幸せを願う意味がこめられた縁起の良い品が並びますので、この機会にそれぞれはどういった意味合いをもつのか理解しておくと結納返しに対する思いも深まり、ひとつの節目としてより感動も生まれることでしょう。 結納返しの品々は結納専門店や百貨店、インターネットなどでこれらが一式となった結納返しセットを購入する事ができます。もしホテルで結納返しをする場合は結納パックのプランがあるホテルもありますので、結納返しに必要なものがすべて含まれており不慣れな結納の準備にも安心して臨むことができます。 結納返しの品目に対してもやはり重要なことは御袴料の金額と同様に、花婿側から贈られた結納品よりも控えめでなくてはならないという事です。花婿側が略式の結納品を用意していたのに、花嫁側の結納返しは正式なもので豪華で品数も多かったという事があっては花婿側も恐縮してしまい失礼にあたります。結納返しを後日にするのであれば頂いた結納品の確認ができますが、もし同日に結納返しをおこなう場合は事前にどの程度の結納品を用意していただけるのか聞いておく事にしましょう。ちなみに結納専門店で用意する場合は結納品と結納返し品を同じデザインで揃えて購入することもできますので、格差もでず統一感もでますしおすすめです。 次は結納返し品それぞれの意味を確認していきます。
目録(もくろく)
結納返しの品を箇条書きであらわしたものです。 毛筆で記されており、関東式と関西式ではたたみ方が異なります。
熨斗(のし)
のしあわびともいい、もともとはアワビを薄く伸ばしたものをいいます。 アワビは高級食材で不老長寿を象徴する縁起のいい食べ物とされてきました。 現在では贈り物にたいする祝意をあらわすものとされています。
御袴料(おんはかまりょう)
花婿側の結納金に対する花嫁側がおくるお返しの結納金です。 現金ではなく記念品を贈ることも最近では多いようです。 その場合は包み紙の中に贈る予定の記念品を記す場合もあります。